剣術指導記

剣術指導の覚書(5)

2021年12月15日

2021年12月14日

今回の稽古の参加者は3人。長く続けられている方2人と初心者の方が1人でした。

今年の稽古はあと2回しかありませんが、なかなかいい稽古ができたのではないかなと思います。最近は稽古に新しく鍛練を増やしたりと変化を入れていますが、私としてはより質の高い技を身に付けるためにどうしたら良いか?試行錯誤しています。

技の鍛練は基本的に、同じ動きを徹底的に繰り返すものではあります。しかし、より質の高い技を行うためには微妙な身体感覚を感じながら、より良い動きを追求しなければなりません。漫然と繰り返すだけではだめなのです。

とはいえ、身体操作にばかり夢中になるのも問題です。人間の身体は非常に自由度が高いため、使い方によってはさまざまな動きができるようになるでしょう。その中には、ぱっと見達人技のように見える不思議な動きもあるでしょう。よくネット上でも見かけます。

しかし、武技というものはただ不思議な動きを追求するものではなく、それぞれの武道の目的に応じたものであるはずです。私たちの場合は、真剣での二刀での戦いで勝てる動きを目指しているのですから、その目的から離れた動きを身に付けてもあまり意味がありません。

たとえば、いわゆる「合気」の技のように掴まれた状態から一気に崩す技、身体操作があるとします。その技は一見、二刀流の剣術の勝負でも使えそうに見えるかもしれませんが、簡単に取り入れるべきではないと考えています。それが二刀での真剣勝負において本当に役立つか?必要なのか?取り入れるとしたらどのように体系的に位置づけるのか?よく検討しなければなりません。

「何となく使えそうだから取り入れてみよう」と何でも取り入れていくと、その武道の本来の目的を見失いモザイク的な鍛練体系になり、技や鍛練の数もやたらと多くなってしまうでしょう。

そうすれば、一つ一つの技を追求することが難しくなっていきます。

したがって、私たちの目的(二刀での真剣勝負の道を追求すること)を念頭に置きつつ、また上達論を理解した上で、自分なりの工夫することが大事だと考えています。

それを前提に、前回組み入れたのが二刀合口の中で行っている鍛練の一部でした。

また、他にも追求したい動きがあるため、今後はそのようなものも稽古の中でトライしていきたいと思います。

1章:抜刀術の指導

この日は、Tさんに引き続き抜刀術の指導を行いました。抜刀術の各技の基本技となっている「抜打ち」の動きがある程度できており、また技を覚えるのも非常に早いため、今回は七本目~十本目までを一気に指導しました。

本来なら、もっと一つ一つの技に時間をかけるべきかもしれませんが、そもそも稽古数自体が少ないため、現在はある程度のペースで教えて後は自主練で身に付けてもらい、またそれをチェックして修正していくという流れで行っています。

それぞれの技に「張り受け」「袈裟切り」「片手突き」などの重要な動作があるため、それらを鍛練するポイントをお伝えしていきました。しかしやはり基本の動きができているため、応用的なこれらの動きも覚えが早いようです。

しかし、抜刀術全体を通しての目的「勝負心を要請すること」、そのために「仮想敵を強く描くこと」。また、抜刀術は「留太刀(寸止め)しなければならない組太刀の鍛練と補完関係にあるものであること」などは、まだ説明が足りなかったかもしれません。

これらは次回にお伝えしていきます。

2章:組太刀の鍛練

東京支部の初期メンバーであるお二人には、今回も抜刀術の後に、組太刀の一部を行う鍛練と組太刀を行ってもらいました。

特に前回から行っている「数喜の形でのねばりをかける鍛練」「漆膠之突の形での押し合い」「十字愁猴之身の形でのねばりをかける鍛練」などは、今回もいろいろと発見があったのではないかと思います。このように型の中から取り出して繰り返し、時間をかけて行うことで、二天一流的な身体・刀の使い方が覚えられるのではないかと思います。

今後は、組太刀の他の部分についても、より鍛練が必要な部分を丁寧に鍛練するようにしていきたいです。

3章:今後の課題

最近の稽古を通して、私がこれからもっとやるべきだと考えているのは、身体の動かし方をより丁寧に、厳密にして技の質を向上させるべきだということです。

技というものは、他人の目で見ると、ある程度正確な形でやれば「できている」ように見えます。しかし、形が正確でも、その技があまり効いていないこともあります。具体的には「受流しの形はできていても、相手の斬撃に対して耐えられない」「斬りは正確でも、一刀両断するほどの威力はない」などです。技の質そのものは、もちろん繰り返し正しい形で鍛練することで鍛えられますが、より良い技にするために、より良い身体操作を目指すことも大事です。

そのためのチェックポイントとしては、

  • 重心の浮きをなくす(体の上下動をなくす)ことで身体の重みを最大限攻撃に活かす
  • 特に腕、肩などの力みをとことんなくして、かつ手の内や下筋、背中はしっかり使って強い振りができるようにする
  • 身体を縮めずしっかり伸ばして使う
  • 刀の重みを最大限活用するために、刀の動きを自分の力で殺さない、活かし続けるようにする

などいろいろとあります。

一人での型の鍛練や組太刀の中で、これらの要素を鍛えていくことが大事です。そのために、より厳密にそれぞれのポイントを意識しなければなりません。正確な形を覚えるのはスタートラインであり、そこから自分の感覚をフル稼働させて技の質を高めていかなければならない、ということですね。

最近は、私自身の鍛練の中でこれらのポイントをより厳密に考えており、それを指導の中にも反映させていこうと考えています。

今年のラスト1回の稽古と、来年からの稽古は、その辺を意識したものにしていきたいです。

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